息つく間もなく、ビートルズは映画第二弾「ヘルプ!」の撮影に取りかかります。メンバーは映画に対してあまり乗り気ではなかったそうですが、「好きなとこでロケしていい」という約束を制作側と取り付けたようで、モチベーションが上がったようです(笑)この映画も僕は観ていませんが、ゲレンデではしゃぐシーンなんかは映像で見かけたことがあります。楽しそうでしたね。
このアルバムでは、カバー曲はいくらかあるものの、オリジナル曲も以前とは少し趣きが違うものとなっています。なんと言っても、聴きどころは「Herp!」「Yesterday 」という二大名曲になるのですが、外部ミュージシャンを招いて独自の世界観を出している3、フォークロックの佳品12なんかも面白い。アルバムの評価としてはあまり高くない(ような気がする)今作ですが、ジョージが2作放り込んできたりと各人の独創性が発揮され出しているのが出色です。
以下、アルバム全体のトピックです。
- 「Help!」という曲は、ジョンの当時の心境を赤裸々に表した曲であるというのは有名だが、タイトルの案は意外にも映画監督を務めたリチャード=レスターと映画の脚本家が相談して決めたもの。
- 名曲「Yesterday」は1964年初頭にはコード進行などある程度着想はあったが、これを形にするのにポールは1年以上かかっている。
- 「Ticket to Ride」はビートルズのシングル曲としては初めて3分を超えている。
Help!
1. Help!★★★★★
もしかしたら、ビートルズ公式発表曲の中で一番好きかもしれません。実質ジョンの曲。タイトル案は第三者からのものでしたが、それを現在の自身の立場を踏まえ見事に名曲に昇華させました。後追いコーラスではなく「前乗りコーラス」なのが特徴的。曲がポップなだけに、歌詞の切迫感が際立ちます。ジョンはこの曲のスローバージョンを録音することを後年試みたそうですが、発表には至らなかったそうです。
演奏面で行くと、ジョージのギタープレイ、特にコーラス終わりのアルペジオなんかは良い感じです。
ところで、この曲のPVはメンバーが縦一列に並んでますが、これはどういう意図なんですかね??
2. The Night Before★★★☆☆
ちょっとやっつけ感はありますかねー。盛り上がるでもなく淡々とした曲調。耳馴染みはいいのだけど、特筆すべきこともなく…
3. You've Got To Hide Your Love Away★★★☆☆
ボブディランに影響されて作ってみましたシリーズ第二弾。ということで、サウンドよりも歌詞に着目してしまいます。
…まあ、なかなか後ろ向きな内容ですね(笑)
4. I Need You★★★☆☆
ボリュームペダルを使ったフワッとしたイントロがなんともジョージらしい。なかなかの佳品だと思います。
5. Another Girl★★☆☆☆
ポールがリードギターを弾いている軽快な曲。このころすでにエピフォンカジノを使用している記録が残っています。「The Night Befoe」よりはノリがいい感じもしますが、あまり印象には残っていない曲。
6. You're Going To Lose That Girl★★★★☆
シングルにはなり得ないかも知れませんが、『最高のB面曲』のうちのひとつかもしれません。後追いコーラス、ジョージらしいギターソロ、ジョンのノリが良いながら哀愁を帯びたボーカル、リンゴのパーカッション等聴きどころも多い。
7. Ticket To Ride★★★★☆
この曲を指して「ヘビーメタル」と表現するのは、僕には全然ピンときませんが「当時としてはヘビー」ということみたいです。それにしたって、ヘビーなのはリンゴのドラムだけじゃないかなぁ?のちにカーペンターズもカヴァー。ヘビーさのかけらもありません(笑)
8. Act Naturally★★★☆☆
アルバムに1曲あるリンゴのボーカル曲。僕はこの曲けっこう好きで、カラオケでも「Boys」なんかと並んでよく歌います。ビートルズ好きでリンゴの曲をカラオケで歌う人はどれだけいるかわからないですが、ぜひ一度歌ってみてください。採点モードでもけっこう高得点出ます。
9. It's Only Love★★★☆☆
ジョンは嫌いだったそうなこの曲、僕は好きです。一回コピーした事があります。「Imagine 」くらいコード進行がシンプルです。が、オーギュメントコードがポーンと放り込んであったり(「my oh my」とか「butterfly」と歌ってる部分)、ノンダイアトニックのB♭が紛れていたりと、その辺はやっぱり一ひねりあります。まぁ、「Help!」なんかと比べると歌詞が練られているわけでもないけど、このころの曲はまだそこまで素晴らしい歌詞というわけでもない曲もあるから、この曲だけ嫌われるのも不思議だなぁ。
10. You Like Me Too Much★★★☆☆
ピアノがふんだんに使われているオサレな曲。ただ、そのピアノプレイに耳が奪われて歌の印象がさほどでもないという、なんとも残念な結果に…
11. Tell Me What You See★★☆☆☆
ここから3つポールの曲が連続。この曲がいちばん印象薄い(笑)演奏なんかもさらっと流した印象で、聴きどころというほどのこともない。アルバム全体としてもそういう位置づけの曲なのかも。次二つが印象深いだけに。
12. I've Just Seen A Face★★★☆☆
イントロだけ、なんか異世界!曲が始まったらしっかりカントリーです。この曲は次の「Yesterday」パストマスターズ2に収録されている「I'm down」と同日にレコーディングされているとのこと。
13. Yesterday★★★☆☆
世界で最もカバーされた曲としてギネスに載ったそうです。率直な感想として、そこまで凄い曲なのかな?と思っています。もちろん、いい曲なのには間違いないですが。中学の技術家庭の時間に、この曲のオルゴールを組み込んだ工作を作るという課題があったのを覚えています。音楽の教科書にも載っていたし、完全に生活空間にも染み込んだ曲でしたね。
14. Dizzy Miss Lizzie★★★☆☆
やっぱり最後はロックチューン!「Twist & Shout」「Rock'n Roll Music」に比べるとやや落ちるかもしれないけど、ジョンのボーカルが冴えわたっています。ギターフレーズの繰り返しも良い。一部の例外を除いて、これが最後のアルバムにおけるカバー曲収録となります。
オススメ曲
You're Going To Lose That Girl
You're Gonna Lose That Girl - Playing Electric Piano With The Beatles
なんだかんだ言って、このアルバムでいちばんビートルズしてるのはこの曲なんじゃないかなぁ、と思っています。いまさらですが、リンゴのドラムセットはおどろくほどシンプルですね。それなのに自在なサウンドを叩き出せるのはほんとにすごい!