行くぞ!The Beatles 全曲コメント Vol.4

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Beatles for sale

言われてみれば、みんなしんどそうな表情…

ビートルズの勢いはとどまることを知らず、映画さながらにファン(いわゆる『ビートルマニア』ですね)に追いかけ回される日々…そんな中で制作されたのがこのアルバム。前作がすべてオリジナル曲だったのとは対照的に、今作はカバーが6曲オリジナルが8曲という構成。あまりの忙しさに曲作りが追いつかず、やむなくの処置だったようです。もし彼らにこの頃もう少しゆとりがあれば、アルバムの中身も少し変わっていたのでしょうか?

 

面白いのがジャケット写真。上記の制作背景を知らなければなんてことない写真かも知れませんが、彼らはファンにも締め切りにも追われており、ひじょーに疲れている時期だったのですね。ちょっと気になるのは、なぜこんな疲れた表情の写真をOKテイクにしたのかということ。まだまだアイドル扱いされていた時期なので、笑顔の写真を要求されていたと思うのですが…という話で、ふと中森明菜の「少女A」の裏話を思い出してしまいました、関係ないけど(気になる方は調べてみてください)。

 

 

Beatles for sale

1,No Reply★★★☆☆

この曲辺りから、歌詞の面でもビートルズは面白くなってきたように思います。恋愛ベースなのは変わらないのですが、シチュエーションや視点が捻ってあるというか…歌の主人公の立場から見れば『悲恋』なのですが、見方によっちゃあ、『ストーカー』だよねこれ、という。そもそも、主人公と女性は知り合いなのかどうかも怪しい。主人公が偏執的なのか、はたまた女がチャラいのか、どちらともとれるのが面白い。ただ、曲調は終始Cメジャーで明るく通しますね。サウンド面でもう一捻り有れば、評価もさらに上がったかもしれない曲。
2,I'm A Loser★★☆☆☆

ボブディランからの影響、という文脈でよく語られる曲です。僕はディランほとんど知らないので、その辺はなんとも…ただ、バディホリーやチャックベリーといった先駆者の曲は普通にカバーしてるのに対し、ボブディランの曲をまんまカバーするということはビートルズの公式発表曲の範囲ではやっていません。版権かなんかの問題?それともライバル心的なもの?この辺はきっと研究がなされているのでしょう、僕が知らないだけで。どなたかご存知でしたら教えてください。
3,Baby's In Black★★★☆☆

「喪服の女」という題材で曲調がワルツ、って、発想としてかなりパンクなんじゃないか?パンクムーブメントの起こりはこの曲だった!と、ここに高らかに新説を提唱いたします(ないない…)。コーラスワーク、ジョージのソロという定番の要素も入っていながら、ビートルズの中ではまあまあ異色の曲、という印象です。
4,Rock and Roll Music★★★★☆

あんまり軽々しく言ったらあかん言葉かもしれませんが、チャックベリーの曲をカバーしたこのバージョンは「オリジナルを超えた」と思います。のちにオリジナル版も聞いたのですが、オリジナルにここまでの疾走感はありませんでした。この演奏でみんな疲れてジャケットのような状態になったとかならなかったとか…
5,I'll Follow The Sun★★★☆☆

ポールがデビュー前に作った曲、だそうです。デビュー前に作った曲を引っ張ってきて、様になるのってすげーかっこいいなぁ、と思ってしまいます。アコースティックで甘い感じのある曲ですが、ちょっとしたほろ苦さも感じます(飲み物の感想みたい…)。

6,Mr. Moonlight★★★☆☆

「ミスタぁぁぁぁぁあぁあぁあ〜ムぅぅンラぁぁぃ」

この曲のオリジナルは聞いたことないんですが、やっぱりシャウトから始まるんですかね?湿気の多い夏の夜にぴったりのナンバー。ビールのお供に🍺

7,Medley: Kansas City/Hey, Hey, Hey, Hey★★★☆☆

このアルバムはライブ映えする曲が多いですね。ジョンなら「Rock and Roll Music」、ジョージなら「Everybody's Trying To Be My Baby」、ポールならこのメドレーですね。まぁ、このアルバム制作の背景から、これは必然ではあるのですが。いや、しかしこの曲の演奏は楽しそう。
8,Eight Days A Week★★★★☆

このアルバムから唯一、「赤盤」に選ばれています。メロディーがキャッチーで、カラオケでも歌いやすい。一週間は7日だから、えーと…

9,Words Of Love★★★☆☆

ビートルズはバディ=ホリーを敬愛していたそうで、カバーもけっこうしている印象ですが、ビートルズの公式発表曲ではカバーしたのはこの曲だけのようですね。今まで出したアルバムのカラーに合わなかったのかもしれません。その点このアルバムはロックンロール一辺倒ではないので、こういった曲も入れやすかったのでしょうかね。もっとも、バディ=ホリー自身はけっこうロックンロールしてますけどね。
10,Honey Don't★★☆☆☆

前作は出番がなかったですが、アルバム一枚につき一曲はあるリンゴボーカル曲。やはりほのぼのとした味がある。

11,Every Little Thing★★★☆☆

この曲、ジョンが作ったのかポールが作ったのかよくわからない不思議な曲です。本人たちの認識すら食い違ってますからね…まぁ、完全にどっちかだけで作ったわけでないのは確かなようですが。歌詞の主人公は、完全勝ち組!
12,I Don't Want To Spoil The Party★★★★☆

ポールがボーカルの高いところ手伝いましたシリーズ。それにしても、コーラスのつけ方が絶妙ですね。鼻歌とかギターでパパッと作ってサッとできちゃうんですかね?この辺作曲過程を詳しく知らないのですが、想像するのもまた楽しい。歌詞のような状況になったことはないのですが、なんだか歌詞に出てくる主人公にすごく共感してしまう曲。

13,What You're Doing★★☆☆☆

「あれ、ポールなんか怒ってる?」みたいな雰囲気を感じる…なぜだか歌い方が不機嫌に聞こえるんですよね。地味な位置づけのこのアルバムにおいて、ひときわ地味な印象のある曲。とは言え、リンゴのドラムは特徴的です。

14,Everybody's Trying To Be My Baby★★★☆☆

やっぱり、初期ビートルズのアルバムのラストを飾るのはロックンロールがぴったりきますね。ジョージも好きなアーティストのカバーをやってるからか生き生きのびのびやっている感じです。

 

オススメ曲

I Don't Want To Spoil The Party


The Beatles - "I Don't Want To Spoil The Party" Stereo Remaster

曲調はカントリーで明るいけど、歌詞はなかなか切ないですよ。ジョージのソロも軽快で良い。

 

 

サウンドハウス