僕は自分のことをピアニストと言うよりはキーボーディストだと思っているのですが、そんな人の多くが読んでいる雑誌があります。それが「キーボードマガジン」です。つい最近、久しぶりに購入したのでそのことについて書きたいと思います。
どんな雑誌?
キーボードマガジン(以下KM)は、リットーミュージックから刊行されており、創刊は1979年6月との事です。それまでもキーボードの雑誌はあったようなのですが、主にピアノ(一部電子オルガン)を扱っており、ジャンルもクラシックかジャズが多かったようです。シンセサイザー関連の機材紹介やロック等のポピュラーミュージックを取り扱った当雑誌は、それまでにはなかったとの事でした。
創刊時はプログレやフュージョンなどが隆盛だった時代であり、数多くの若手ミュージシャンが記事の執筆に携わっていた一方、MIDIの解説やコンピューターを使用した楽曲作成の方法なども取り扱っていました。まさに、キーボードやそれを取り巻く楽曲の演奏、制作環境について網羅していた雑誌です。
インタビュー記事も、リック・ウェイクマンやキース・エマーソン等伝説のプレイヤーを取り上げており充実していました(以上、Wikipediaより抜粋https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%BC%E3%83%9C%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%82%AC%E3%82%B8%E3%83%B3)
キーボードマガジンとの関わり
僕がKMを購入し始めたのは、うろ覚えですが大学で音楽サークルに入ってしばらく経った頃だったように思います。最初に購入した号は今は手元にありませんが、カーペンターズが表紙を飾っており、特集記事も組まれていました。そこから毎月というわけではありませんが、頻繁に購入して楽しみに読んでいました。よく読んでいたのは、ミュージシャンのインタビュー記事、コード理論等の解説記事、機材の解説記事などでしょうか。ああ、あと、「メンバー募集」のコーナーなんかもよく目を通していました。募集に応じたことはないですが(笑)
一番印象深いのは、矢野顕子さんのインタビュー記事でしたね。インタビュー全般興味深く読んだのですが、記憶に残っているのは
「好きなことを一生懸命やることを『努力』と言うのならば、私は努力している」
という旨の発言でした(この号も残念ながら手元にない…)。それまでは、努力って『苦行』と思ってたフシがあるのでこの話には感銘を受けました。
2020年春号について
そんなKM、最近全く購入していなかったのですが、本屋さんで久々に遭遇、パラパラめくってみるとこれがまあなんと素敵な企画ばかりで!即購入決定。3月に発売されてたみたいで、ちょっと今更感はあるかもしれませんが、どんな記事が載っていたかご紹介します。
- 特集「まらしぃ」
- ライブキーボードYAMAHA YC61レビュー
- 大野克夫(『太陽にほえろ』『名探偵コナン』でおなじみ)、沖祐市(東京スカパラダイスオーケストラ)インタビュー
- NAMM Show2020レポート
- 実践フレーズで指と耳を鍛えるジャズハノン(CD連動企画)
ざっと挙げただけでも、興味深い内容が多々ありました。
キーボードマガジンの現状・今後
キーボードという楽器は今も進化しており、かつプレイヤーも多彩なのですが、残念ながらKMについては、この2020年春号で定期的な刊行は終了、今後は不定期での刊行となることが発表されています。こういう流れになった1番の要因は、やはり「ニーズの変化」という事でしょうか。音楽機材の進化やPCの性能の向上により、楽曲の演奏や制作はプレイヤーの演奏技術よりもいわゆる「打ち込み」による比重が大きくなりました。その範疇については、同じリットーミュージックが1981年11月号より「サウンド&レコーディングマガジン」を刊行しカバーしています(月刊化は1982年5月より)。KMは今後不定期のムック本として刊行される予定という事なので、よりプレイヤー指向に回帰していくのではないでしょうか。
この流れはちょっと寂しい感じもしますが、よくよく考えると自分自身も毎号買っていたわけでもなく、時代の流れとして仕方のないことかもしれません。ただ、考え方を変えてみると、不定期刊行になることにより、さらにテーマを絞った濃い内容になることが期待されます。今後も楽しみに刊行を待ちたいと思います。